企業等の協力事業所で切り出してもらった仕事を
相談者にマッチングする個別の就労支援を地域の
就労支援の仕組みへと展開するにはどうすればよいのでしょうか?
その方法の一つが、体験プログラム等のツールの活用です。
企業等で切り出した業務を体験用などに「プログラム化」し、
就労支援機関や無料職業紹介窓口で紹介できるようにします。
「プログラム化」するとは、切り出した作業等の詳しい内容や働く環境、求められる能力、
確認できるスキルや能力を明確にするなどし、相談者が参加しやすくするものです。
いくつものプログラム情報を就労支援機関や無料職業紹介窓口で集積し、
各支援窓口で共有資源として活用することで、どの窓口につながった相談者も幅広い選択肢の中から、
それぞれの特性やステージに応じて体験や短時間・短期雇用にチャレンジすることができるようになります。
ここでは業務の体験プログラム化のためのツールならびに、相談者の目標等を体験現場に伝えるためのツールを紹介します。
「業務の切り出しのススメ」で紹介したように、企業を訪問する際の聞き取りのガイドとして活用します。
このシートをもとに、次に紹介するしごと体験等プログラムシートを作成します。
①②は相談者向けの資料、③は相談員向けの資料です。
③は各協力事業所の業務内容や体験できる作業の特徴について、
あらかじめ相談員が知っておき、相談者にうまくマッチングするための資料です。
企業等でのヒアリング時に作業の特性や体験で確認できること
(理解力・正確性・体力・手先器用度など)をよく聞き取り、それをもとに作成します。
企業等で聞き取りをする際のガイドとしても使えます。
①~③が一通りできたら、企業の担当者ならびに何人かの就労支援員に見てもらい、
ブラッシュアップします。
複数の企業等にて①~③を作成したら、地域内の就労支援機関や無料職業紹介窓口に備え付け、
就労相談(キャリア相談)で相談者に合わせて活用します。こうした
「働く場でのプログラムメニュー」があることで、支援しやすくなります。
体験や短時間雇用を受入れることでメリットを感じられると、
企業側が切り出す業務のバリエーションを増やしてくれることがあります。
ですから、適宜、シートをアップデートする仕組みにしておきましょう。
~体験のための自己紹介シート~(通称:Jシート)
体験等の支援プログラムの効果は「状況依存的」です。
プログラムで何を獲得したいか、思いや希望を受け入れ側の職場の
皆さんに事前に伝えることができると、「状況依存的なリスク」
を減らすことができます。
支援員は相談者と話し合い、「体験のための自己紹介シート」
(上図)を作成し、体験等受入れ企業(プログラム実施者)に
情報提供すると効果的です。
とくに自己肯定感が低い相談者は、目標やセールスポイントを
見つけることが苦手で、自身で言葉にできない人も少なくありません。
そこで、この自己紹介シートの項目をガイドにし、
相談者と話し合いながらシートを作成しましょう。
相談者本人も、シート作成時に話し合ったことを、体験の現場でのコミュニケーション
(自己紹介や質問、会話等)に活かします。
一緒に従事する職場のスタッフも、シートの内容が会話のヒントになり、
ナチュラルサポートの醸成につながります。